突然にやってくるメール

一日だけ店に復帰すると

今更店など行く気にならず

近況報告をメールで受ける

普通の仕事に就いたらしい

就職祝いをやってくれと頼まれ

渋々了承しながら

気持ちが盛り上がることなく

今更なぜ店に入るのかが

腑に落ちない

最近kiyoと飲む機会が増えた

職場が同じでなければ

馬鹿な噂を流されることさえなければと

あらためて感じつつ

静かに話を聞く態度を

責められながら

どうすることもできないと

自分に言い聞かせる

kiyoの30歳の誕生日

今年も一人で寂しいと

2人で祝うのは避けながら

同期で祝うことに

kiyoの好みの店に応えながら

必要もなく株をあげる

珍しく礼を言われると悪い気もせず

皆に隠れて何かをするわけにもいかず

微笑みながら頭を撫でる

ただ今後も何もできないと

自分に言い聞かせながら

間の悪いことに

相談のメールの際に

返事ができなかった

案の定、それ以降

メールは来ない

asukaの気まぐれを

ただ待つだけ

忘れたころに

送られてくるであろうメール

記憶から消え去りかけた瞬間に

asukaから連絡がある

相談したいことがあるらしい

今更

何の相談なのか

想像することさえもできない

あれから
何が起きたのかと

時折思い返しながら

何も起きていないこと
何も起きないであろうこと



何か起きてほしいのか
何も起きないでほしいのか

自問自答を繰り返す

子供を産むとの決心

異論など
ありもせず

それまでの
短い時間に

してやれるだけのことを
少しずつ
やっていくだけ

asukaのいない店で
無力感を味わった翌日

店が変わったと
突然のメール

驚きながらも
いつものasukaらしいと

急いで
新しい店へと
足を運ぶ

asukaが
店にいないと知りながら
店に足を運び

好みでもない
写真もない嬢を指名する

案の定
気が合うこともなく
体が合うこともなく

より一層
気分は盛りさがるのみ

今後のことなど
考えるつもりもなく

旦那の子ならば
産みたいと

少しでも
他人の子である
可能性があるために

どうしたら良いのかと
相談を受けるも

旦那の子であれ
客の子であれ

自分以外の子供に対して
中絶の２文字は
安易に言えるはずもない